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大学を休んでいる間、サボらないための日記

kikikann

 本学の卒業制作展でゲストトークがあるので聞きにいった。本来なら私も出展しているはずの展覧会に、のこのこと顔を出すのは多少浮いている気がしなくもなかったが、そんなこと言い出したら休学なんてやってられない。いらないプライドを捨てて色んなことにチャレンジできるのが、休学の醍醐味だと(個人的に)思っている。かつての同級生に、「あ、ひつじちゃんおるやん」と言われながら、会場に赴いた。

 

 本題から逸れるが、私は卒業制作・卒業論文に対する同級生の態度が苦手だった。半分ほどの人が、「だるい、やりたくない」と言う(そうでない人もいる)。私はとても!頑固なので、そんな人を見る度、心の中で烈火のように怒っていた。というのは言い過ぎだが、じゃあ大学やめれば?と思っていた。

 人それぞれ事情があるのは分かる。モチベーションを保てる人も保てない人も、自分のやりたいことを見つけられない人もいる。だからとやかくは言わない。しかし、卒制・卒論というのは、大学に入った以上は、期末テストと同じノリで「だるい」と言われるものではないだろう。それで自分の方向性が決まってしまう恐ろしいものなんだから。

 

 こういう考えを話すと、右翼っぽいねと言われる。そうなのか。私と右翼の関係についてはまた書くとして、表題に戻ると、ゲストトークでは建築家とプロダクトデザイナーの方が来られていた。その、建築家の方のお話がとても刺さったのだった。なぜなら、それは私が常日頃考え、怯え、けれどどうすればいいのか分からず試行錯誤していた事柄だったからだ。

 

 その建築家さんは、有名なアーティストにしばしば見られるようなざっくばらんな方で、昔堅気のオヤヂ、という感じだった。以下に内容をまとめる。意訳も含みます。

 

 

職場で、25-30ぐらいの世代はとてもおとなしいという話になる。それは同調圧力が一番強い世代だからだ。/建築について何か話してというと、みんな型通りのことを話す。本音はぼそっと最後に出てくる。自分でも分かっていないようだ。/君たちの作品を見たけど、危機感がない。/心配しなくても日本は近い未来に潰れる。その時に動くのは君たちの世代だ。だから危機感を持たなければいけない。/日本は、バブル崩壊でも9.11でも阪神大震災でも3.11でも変わらなかった。もう後がない。/ 坂本龍馬明治維新も、日本を変えた人たちは大体25歳ぐらいだ。こんな時代は若い人が活躍する時代だ。だから君たちが危機感を持って動かないといけない。

 

 

 オカルトのように、日本が潰れる!と騒ぐ人はいるけれど、この方はなぜ日本に後がないのかをちゃんと理解していて、その上で我々にハッパをかけてくださったと感じた。日本の税収が何兆円で、支出が何兆円(確か収入の三倍くらい)で、借金がいくらで。さらに、私たちが生きている間に必ず南海トラフ地震がくる、それは東日本大震災の約15倍のパワーで、復興にかかるお金を単純計算しても日本の税収を優に超えてしまう。だから日本の財政がまず潰れる。心配しなくても必ず潰れる。

 

 話を聞きながら、そうだ、私は学校にいると危機感を持てないのが怖くて、それが休学をした理由の一つだった、と思った。学校にいると、あの不気味な同調圧力で、自分が抱えている問題や外の世界のことはぼやかされる。集団でシリアスな話ができない。一対一だと多くの人が本音(らしきもの)を話してくれるけれど、複数人になると場の空気を壊さないことに徹される、あの感じが本当に苦手だった。

 

 4回生前期で卒業制作と就活をする中、大学も日本の就活も何か変だ、このまま続けていたら自分が潰れてしまうと感じて、一年休むという選択肢をとった。日本と世界のニュースを見ると気が狂いそうになるし、バイアスのかかった報道ばかりするマスコミに腹が立つ。自分が考えすぎなのかと思っていた。同じ言葉で話せる人は少数派で、集団の中では非力だ。

 おかしい、と思うことに対して、自分なりに情報収拾をして動いていたけれど、非力な個人のまま現実にコミットするにはどうしていいか分からなかった。けれど、危機感の話を聞いて、ただやればいいんだと分かった。背中を押してもらえた。今のタイミングで彼の話を聞けてよかったと思う。