無題4
この子はほんとうに強情で。ある母親が言う
彼女の後ろには女の子。母親の言葉に反応せず、じっと前を向いている
私は知っている。その子は内側で泣いていること
家に帰り布団に入り、暗闇の中一人になってようやく、実際に涙を流すこと
そのぐじゅぐじゅとした傷口が、中学生になっても、高校生になっても、ふとした瞬間に血を流し始めること
傷が癒えることはない。君はそれに一生苦しめられる
しかしいつか君の傷跡に気がついて、黙って包帯を渡してくれる人がきっと現れる。私はそれも知っている
だから君の傷はそのままでいい
だらだらと血を流しながら、顔を上げていればいい