休学中ですブログ

大学を休んでいる間、サボらないための日記

それしかできなかった

前置きーープロの写真家のIさんから直接お話を伺う機会を得た。そこでの会話が、とても刺激的だったので、記録のために記しておく。

 

 その方は、世界中を旅しながら写真を撮ったり本を書いて暮らしている方で、淡々とした口調ながら、後ろにある重厚な経験と思慮深さがしみじみと伝わってくる人柄だった。何回も死にかけた経験を持つ人が言う、いや~あれは死にそうだったね~は、たとえ冗談みたいな口調でも、腹の底にくる重さがあるのだなということが分かった。

 

 一昨日帰国したばっかでまだ頭がぼんやりしてんですよ~と、訥々と語られた言葉の中に、自分の気持ちにリンクする部分が多々あり、不思議な気分になる。世代も育ち方も違うのになぜだろう。おそらく自分は彼らと似たような人種なのだろうと思った。それはどんな場所にもいる、未知の世界を執拗に希求する人種である。その中でも、親に嘘をついてまで新世界に旅に出る、という逸脱した行動力がIさんにはあり、それが彼を今の風にしたのだろうな、と思う。

 

 以前、人からなるしかない職業の話を聞いた。人の話を聞くのが好きでつい突っ込んだ質問ばかりしていたら、記者になれと言われるような話だ。それは一見楽に見えるが、よしんば好きなことを仕事にできたからといって楽なわけではないし、かといって違うことを生業にしようとすれば辛いし、自分でレールを敷いてしまう人生は、それはそれで大変だなと思ったりする。そして、この方はまさにそれだったのだろうな、と思った。冒険家にしかなれなかった人種。

 

 楽しいことばかりではないだろう。山に登っている最中になんで俺はこんなことをしてるんだ?と我に返る話には笑ってしまった。だけど、Iさんと直接対峙した時に得られる知見はこれまでに出会ってきたどんな人よりも多く、やる人もできる人も少ないからこそ、彼の体を張った生き様には価値があるのだなあと考えたりした。

(続く)