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大学を休んでいる間、サボらないための日記

異邦人として、1

 更新をサボってしまっていた。言い訳だが、しばらくフランスにいた。大学のプログラムで、ロボットを作っていた。

 

 留学らしきものは高校の時に一度して、全然英会話ができず悔しい思いをした。今回の旅はそのリベンジマッチの意味が大きい。初めはそう考えていた。しかし、実際に来てみると、リベンジの意味以上の体験が次々と飛び込んできて、頭の中が大混乱している。

 

 所詮自分は、東洋の一国のちっぽけなアジア人に過ぎないのだな、という頭でしか分かっていなかった事実が、体感として染み込んできたことが一番大きい。世界はこんなに広くて、こんなに人がいて、あらゆる場所にそれぞれの人生がある。その途方も無い事実に気が遠くなる。そして、なんの縁もない国に来た自分を説明する時に、確固たるアイディンティティなどないことに気がつく。私はなぜ私なのか?私はなぜこの専攻を選んで、こんな仕事を探しているのだろうか。いや、理由はあるのだ。しかし、日本だとなあなあで通じる感覚が、他言語で異なる背景を持つ人に説明しようとして初めて、どれだけ曖昧なものだったのか気がつく。(私が思慮深さに欠けているだけかもしれないが…)

 

 私は日本でもマイノリティに属するが、こちらではその属性がアジア人というマイノリティ性に飲み込まれてしまうのがとても面白い。以前から、話せないのではなく話さないのが問題だと考えていたことを、本当にそうだなと噛みしめている。

 

 正直英語は話せない。話せないが、どれだけ吃ろうがめちゃくちゃな文法で話そうが、耳を傾けてくれる人はいる。というかそうしないと自分を説明できない。自分を説明できないと、異なる属性の人と関わりあう手がかりも掴めない。

 

 しかしこれは、短期間しかいない異邦人だから許されている感じもする。異邦人というあからさまな違いがあるから、これだけ親切にしてもらえるのだろう(ペシミステックに過ぎるか?)。言葉が通じるほど生じる諍いもあるのだ。お互いに共通言語が喋れずジャスチャーでやり取りする、そんなコミュニケーションが一番平和なのかもしれないな、と思った。