休学中ですブログ

大学を休んでいる間、サボらないための日記

就職がこわい話

 腹をくくって就活に向き合い始めた(遅い)。

 

 手始めに自己分析と、仕事や人生や働き方に関する本を手当たり次第に読んでいる。その中で、『就職がこわい』という香山リカさんの本に出会った。

 

 香山リカさんの本をきちんと読んだのは初めてだった。タイトルから、就活に怯える大学生の話と予想をつけていたが、その問題を起点に、なぜ大学生が就活を回避するのかを精神科医的視点から多岐に分析しており、とても面白い。2004年に発行された書籍であるため、ところどころ内容が古い感はあるが、大半は今の大学生にも通じると感じた。

 

 ここで分析されて浮かび上がる若者の姿は、ざっくりまとめると「繊細で、周囲の出来事を自分に対する好き・嫌いで判断するため傷つきやすく、自己評価が低く、しかし特権意識だけ高い」というものだ。自分にしかできない仕事を求めているが、就職活動に自ら参加していく覚悟や度胸はなく、来るはずのない「天の声」を待ち続けている、という人物像。

 

 私はこの人物像に共感するところがある。特に、「自分にしかできない仕事をしたい」という思いは、しばしば抱えるところである。それが問題だとも感じないほど、私にとっては自然な感情だった。なので、こういった思考の根本原因と思われるものの記述を読んで初めて、自分が抱えている化け物のことを自覚した。

 

 そういった感情の大半は、自己肯定感の低さからきている。私はずっと、社会で仕事をすることで、自分の居場所を得て、認められたいと考えていた。確かにそれは働く動機の一つであるかもしれない。私にとって問題だったのは、それが還元率100パーセントで得られると考えていたことだ。自分がやりたい仕事を頑張れば、うまくいって、みんなから認められると。休学前の方が、より盲目的にそう信じていた。

 

 今の日本社会で始めからやりたい仕事ができるとは限らないし、仕事が必ずうまくいく確証もないし、そもそもみんなって誰だよ? 今なら突っ込めるが、休学する前、がむしゃらに走っていた頃は、そこまで考えられなかった。やはりその原因は、自分に自信がなかったからだと思う。いい会社に入れば周囲から一目置かれると、それで自分の価値を高められると、本気で信じていた。

 

 いや、就活において、そうやって盲目的に走り抜ける才能も必要かもしれない。けれど私は立ち止まることを選んだし、実際にそれで良かったと感じている。自分のことを冷静に見れるようになったからだ。客観的に自分と自分の将来について考える体力がついた段階で、この本を読めて良かった。

 

 あと、これは就職に悩む若者の背中を押す本であると同時に、若者の考え方の傾向やその背景を明らかにする本でもあるため、メインターゲットの大学生だけでなく、幅広い年代に読まれるべき内容だと感じた。それは、若者の問題=現代の問題でもあるからです。おわり。